もう11時を過ぎているのに……



壁に並べられた窓は、ひとつも明かりを灯していない。



――だから、真っ暗。




美桜の言う“お兄ちゃん”は今、家には居ないのだろうか。




「クリスマス……楽しみにしてるね」

首に巻かれたマフラーを解くと今度は俺の首へと巻きつける。


背の小さい美桜を気遣って、少し屈んだ。


良かった――
美桜がそう思っててくれて。




「駅で、待ち合わせだよ?」

見上げる瞳に捕らえられ、一瞬忘れそうになる。


その言葉に隠された意味。



深く考え過ぎかな?


“家には来ないでほしい”


そんな風に考えてしまう俺はおかしいのかな。