ウチは食堂だけど、人に分ける程の食べ物なんて無いのよ…ゴメンナサイね。

龍水晶で見ていたドラムは、この上なく落ち込んだ。
そんな時だった、村が急に騒がしくなり、シャリマは食堂の外に出た。

村の入口に、村人ではない感じの男達が数十人いた。

いかにも『盗賊』な感じだ…

この村の村長が、その男達に何か言ってる様だ。


もう、この村には食料は無いんです。私らが食べて行くのが精一杯なんです…
村長は言った。


そうか、食料は無いのか…金目の物も盗りつくしたし、めぼしい女もイナイ…


ぢゃ、この村には、用はねーな!
村長は言った。

この村から手を引いてくれるんですね?

男は答えた。
あぁ…引くよ。テメェら皆殺しにして村を焼き払ってからな!

シャリマは思った。
この男は人間なのか?
老齢の男が跪(ひざま)き 許しを請うのに対し、この横暴な男は、村長を足蹴にし高笑いをしてる…

シャリマは一瞬思った。『こんな世界を救う価値なんて、本当は無いのでは…』

ドス!!鈍い音がシャリマの耳に届いた。
シャリマだけでなく、そこに居た全員が耳にした。
音の原因は、盗賊の一人が倒された音なのだ