まだ暖かな午後
彼を抱いて出かけた

金木犀の曲がり角
日の透けるガラスドア
そこには彼が大好きな白衣

クレゾールの香りのする白衣
あたたかな手で
彼の光る毛並みをなでる

彼は目を閉じて
信頼する白衣に身を任せ
彼は今日も会えた感謝をあらわし
私は今日も会わせてあげられた感謝をあらわす

彼にあたってしまったあの日
彼を置いてきぼりにしたあの日
彼が見送ってくれたあの日

今は10年を共に過ごした
彼への感謝であふれてる

今は歩けなくなった
彼の足が無性に愛おしい

抱いててやるからね
もう見捨てたりしない

抱いててやるからね
いつまでも彼と共に