「ねーちゃん!?鍋、吹いてるって!!」
優太の声に我に返った。
ガス台の上の鍋は、今にも噴きこぼれる寸前で、優太がすばやくガスを止めた。
しまった!ぼーっとしちゃって…
「ご、ごめん。ありがと」
優太は、心配そうに私の顔を見ていた。
「…ねーちゃん、なんでそんなにぼーっとしてんの?上の空って感じじゃん。そんなんじゃ怪我するぞ?」
図星を突かれて、動揺しそうな自分を必死にごまかそうとして、私はまた晩御飯の支度に戻った。
「そんなことないよ。ちょっと疲れてるだけ」
そんなの嘘だけど。
勉強会に来なかった悠人君が気になって仕方ないなんて言えなかった。
ごめんね、優太。

