「優太、ちょっと早いよ。もっとゆっくり帰ってきてよ!」
優太に耳打ちする。
「え~?ねーちゃんが遅いんだろ?とにかく、早く飯作って!!」
受験が近い優太達は、毎日、日替わりでお互いの家で勉強会とやらを開く。
「毎週水曜日は木下家」らしい。
おかげで私は、仕事で遅い母親に代わって、この子達の晩御飯の面倒を見なくちゃいけないのだ。
最初は嫌がってた御飯作りも、慣れてしまえばそんなに苦ではなかった。
「亜矢、今日何作ってくれんの?」
この声…
私はため息をついて振り返る。
「年上を呼び捨てにするなって、何回言えばわかるの…?」

