「どうしてここにいるんだ…悠斗」


低い声が聞こえて、私達は同時に驚いて声の方に振り返る。


「…約束したよな、悠斗。どういう事だよ?」


自分の傘をさして、私の赤い傘を持ってそこにいたのは、優太だった。



固まっている私の方に歩いて来た優太は、悠斗君の腕を掴んで払いのけた。


「ねーちゃんに触るな」


悠斗君は、優太を見つめたまま、黙っていた。


「お前に、ねーちゃんを渡すわけにはいかねぇ」


「優太!!待って、悠斗君は、私を送ってくれただけで…」


「…だから、何?俺は、ねーちゃんと二度と会わないって…ねーちゃんの事は忘れたって言った悠斗を信用してたのに。また、お前は俺を裏切るんじゃねぇか」


「……」