私を「亜矢」と呼ぶ声。
私の腕を掴んでいたぬくもり。
隣に座った彼の肩が濡れていて、私が雨に当たらないように傘をさしてくれていた、変わらない優しさ…。
その全てが、私の涙腺を破壊しようとする。
小さく震えている私に、悠斗君は鞄からタオルを取り出して、ためらったように口を開いた。
「…触れても、いい…?」
心臓が大きく波を打った。
小さく頷いた私の頭に被せられたタオル。
優しく、私の髪を拭いてくれる感触に私は目を閉じる。
どうしよう。
嬉しい。
あんな事があって頭はごちゃごちゃなのに。
会えて、嬉しくて、私の体全部が叫ぶの。
『あなたが好き』って…。

