「あのさぁ!」 昼の睡眠をさえぎられた。 私はうっとうしそうに下山を見た。 「俺の名前、わかる?」 ニコニコしながら下山が言う。 「は?」 私は呆れた。 というより驚いた。 私みたいに楽しく無い女に話しかける人いるんだ。 物好きだな。 「俺の名前さ、下山って言うわけよ」 うん、と返す。 「でさ、お前の苗字上田じゃん? お前の上田と俺の下山で“上下”じゃね?」 そう言って下山はニカっと笑った。