社長の息子と恋




そこから目を反らして、早足でその場から離れた。
すると、慌てて女が追いかけて来た。


「待って…!
秋元先輩!」


『うるさい!
…一人にしてくれ。』


女は驚いた顔で俺を見ると、小さく頷いた。


よっぽど弱った顔をしていたんだろうか?
情けないな。


自転車に跨がると、だらしなくペダルをゆっくり漕いだ。


俺が自分で心亜を突き放して直哉の言葉を聞かなかったんだ。


家に着くと、お袋が駆け寄って来た。


「おかえり、心吾~。
……ん?何かあった?」