『…はい。 ありがとうございました…』 ポン、と頭を撫でられて思わずあたしは少し泣いた。 『あたしどうしてこんなに素直になれないんだろ。 好きって素直に言えばいいのに言えない…。 いっちょ前に人に泣き事を言う事は出来るのに。』 「……そういう素直じゃない奴、俺も一人知ってる。」 そう言って直哉先輩はあたしを抱きしめた。 驚いて固まってしまったが、温もりに安心して、あたしはそのまま抱きしめられたままでいた。 しばらくして、直哉先輩があたしを離して困った顔で笑った。