「しーんーごー!」 耳元でうるさく名前を呼ばれて目を開けると、見慣れた地味な顔があった。 『…なんだよ、自分で起きれるっつっただろーが…!』 布団をグイッと引っ張ったが、すぐに引き剥がされた。 「何言ってんの! 今日は早く起きなきゃいけない日でしょ。 ほら、起きて!」 背中を押されて仕方なく立ち上がった。 『あーうるせぇおばさん。』 「口悪! もーパパの真似しないでよー。」 俺の横を歩く地味なこの人間は俺の母親。