「楽しみだな、映画。」 彼女は会うとすぐ俺にこう言った。 とりあえず映画を嫌っていないらしい。 「じゃあ、チケット買いに行く?」 彼女は可愛らしくはにかみながら俺に聞く。 そうだ。 映画とは、席をとるためにも始めにチケットをとっておくべきなのだ。 なかなかいいぞ、俺の彼女。 今までここまで映画の極意をわきまえた女なんていなかった。 今回は本当に、運命の女なのかもしれない。 そう信じたい。