『エリスへ。
旅は順調に進んでいるかい。
一緒に旅をしてくれる仲間は見つかったか?
エリスは方向音痴だから、巡礼地にきちんと導いてくれるような、信頼できる仲間を見つけないといけないよ。父さんは、それだけが心配です。
父より』



(父さん、本当に心配性だなぁ。それに私は父さんが言うような、方向音痴じゃないってば)

思い掛けない場所へ、たまたま高確率で行ってしまうことがあるだけだ。

父の勘違いに不満を抱きながらも、多少角張り気味に書かれているいつもの見慣れた字が、不意に滲んでしまったため、慌てて顔を擦った。

私は読み終わった手紙を丁寧に荷物の中へ仕舞うと、再び自分自身を奮い立たせるかのように、森の中を歩き始めたのである。