「ウィル、大変だ。すぐに来てくれ!」

あの日、隣に住んでいるグランドおじさんが息を切らせて、家に駆け込んできた。

「! どうした、グランド!?」

血相を変えて飛び込んできたおじさんに気づき、さっきまで新聞をのんびりと読んでいた父は慌てて駆け寄った。

「すぐに…来て……」

自分の年齢も顧みずに全速力で走って来たらしく、おじさんはその場に座り込むと、肩で息をしながらゼイゼイと喘いでいた。

「おじさん、お水どうぞ」

息を切らしてまともに話せないおじさんを見かねたのか、すかさず弟のソーマがおじさんの目の前にコップを差し出した。

おじさんはそれを奪うように受け取ると、一気に水を飲み干して呼吸を整え、改めて父に言葉を伝えた。

「ここにヤツらが攻めてきた。それもすごい数のヴォーウルフの群れらしい。まだ西門の辺りだ。ウィルもすぐに来てくれ!」