喧騒。私を呼ぶ声。
それらが耳元で、ぐるぐると渦を巻いている。
あまりにも煩さすぎて、私には我慢の限界が来ていた。
「あーもう、うるさーい!」
勢いよく振り上げた拳からは、鈍い感覚が伝わってくる。
「非道いですよエリスさん〜、いきなり殴るなんて〜」
「ん? あれ?」
私はここでようやく目を開けた。
目の前には左右にずれた眼鏡を直しながら、私の顔を覗き込んでいるエドの姿があった。何故かその頬は赤く腫れていたが、それよりも気になることがある。
「ここは?」
「ここはまだ洞窟の中です〜。エリスさんは〜ずっと気を失っていたんですよ〜。僕も〜ついさっき目を覚ましたところなのです〜」
起き上がって辺りを見回してみると、数十人の武装した男女が広間の中央にある階段を、ドカドカと足音を響かせながら上っていくところだった。
「あの人たちって…」
「討伐隊の皆さんです〜」
と、突然左腕に激痛が走った。



