その方向を見ると一匹の魔物が、もぞもぞと動いている。術の効力が切れかかっているのかもしれない。

「やば…早く逃げなくちゃ」

「そうですねぇ〜そろそろ時間かもしれません〜」

「あんた、何呑気なことを言っているのよ。
そうだアレックス、今の内にこいつらにトドメを刺しなさいよ。そうすれば二度と起き上がることもないでしょ。
それとも私が刺したほうが早いのかな。全体は無理だけど動いていない奴らなら、私でも2〜3匹程度をまとめて攻撃できるし……」

「待て、エリス」

私が前に出ようと足を踏み出しかけたとき、アレックスがいきなり私の腕を掴んだ。

「? どうしたの」

「ここは一先ず、この場を離れるべきだ」