「そっ。

実はね、圭くん。

有名な国立大学に通ってるのよ。

茅乃は理数系がいつも弱いでしょ? 

圭くん、理工学部みたいだし、家庭教師をお願いしてみたのよ」





 そ、そういうわけだったのか………。


 だから、一番最初に圭くんの写真を………。


 思い返せば話は繋がってくるのだけど―――


「あ、あたし、

家庭教師なんていらないよ!」


「何言ってるの。

こうやって、順位も一つ落ちてるじゃない」





 ママはまたもあの成績表を取り出してくる。


 だから、たかが一つ下がったぐらいで………。


 でも、ここで何を反論したところで、ママには効かない。


 実際に、順位が一つ下がっているのは事実だし。


「わかった。

でも、あたしにもチャンス頂戴。

今度の試験で順位が上がったら、家庭教師の件はなし。

家庭教師をつけるかどうかは、今度の試験で…」


「ダメよ、そんなの。

だって、ママ。

すでに圭くんのママにお願いしちゃったもの」


「はぁ!? 

そんなの断ってよ! 

だって、ずるいよ、ママ。

あたしにチャンスもくれないで勝手に決めちゃうなんて」





 こんな順位が一つ下がったぐらいで、家庭教師を付けられたんじゃたまんない。


 それも、いくら名前と親は知っていると言っても、ほとんど赤の他人の男の家庭教師だなんて。