だけど、言うだけあって、誠は本気なのか梃子でも離そうとしない。
そんな俺たちを見かねて、雅紀が救いの手を差し伸べてくれた。
「なあ、圭史。
何もなければってことは、何か大切な用事でもあるのか?」
「え?
あ、ああ、ちょっとな」
「なんだよ、それ。
その用事は今度に回せよ、な?」
こいつは、何を勝手なことを………
「無理。
もう約束してあるし」
第一、俺から言い出したことだぞ。
まあ、あいつのことだ。
俺が用事ができたと言えば、茅乃は喜んで「いいですよ」と言うに決まってる。
それが想像できるからこそ、俺はこの約束だけは保護にするつもりはない。
絶対に決行してやる。
どんなに邪魔が入ろうとも!
「約束って誰とだよ!」
ズイッと俺に近づいてくる誠。
こいつ、近いって!
俺は誠が近づいてきた分だけ後ろへと体を反らす。
それから、誠のことを少しの間見てから、前へと向き直る。


