「―――いや、でも………。
まあ、わりぃ」
なんだ?
なぜ、突然謝る?
謝られると、さっきのキスのことをまざまざと思い出してしまう。
そうだ。
あたし、こいつにキスされたんだ。
それも、大切なファーストキスを奪われたんだ。
まあ、大切にもしてなかったけどさ。
でも、あの圭くんが謝ってるんだ。
ここは、圭くんが下に出ている間に恩を売ってやるのも手かもしれない。
そうすれば、これからはあたしにえらそうな態度も控えるかも。
心の中でイシシシシと笑いを浮かべながら、あたしは目を閉じる。
「…一応さ……。
あたしとしては、ファーストキスに夢なんてものを見てたのに………」
泣きまねをするほどの演技力はないあたしは、せいぜいがっかり感を出すのが精一杯。
だけど、事が事だし、圭くんも悪いと思っているから大丈夫。
これで、圭くんは自分が本当に悪い事をしたと思って―――
「だけどさ。
確か、茅乃のファーストキスって、今じゃなくてお前が四歳ぐらいの時に、俺が奪わなかったっけ?」
「ほえ?」


