「うっさい!
どうして、あたしにキスなんてしたのか説明しろって言ってんの!
それも、口になんて………」
自分で口にした瞬間、自分がまだ一度だってキスをしたことがなかったのだと気づく。
まさか、あれがあたしの記念すべき初キッスになっちゃったりするわけ?
「なに? そのマヌケな顔。
もしかして、あれが初めてだったり………しないよな?」
さっきまでからかう要素満点の顔をしていた圭くんだが、急に心配そうな顔を見せてくる。
なんだよ!
そのいかにも可哀想な顔は!
気の毒そうな目であたしを見るな!
「うわっ、マジ?」
何も言わずに顔を逸らすあたしを見て、圭くんは「あちゃ~」と額に手を当てる。
「お前、もう高校生なんだろ?
キスもまだって………」
「べ、別にキスなんてしてなくても大人にはなれる!」
何の根拠もなくあたしは言い切る。
すでにあたしの頭の中にはさっきのキスとか云々より、自分がキスの経験もないことをバカにされたことで頭がいっぱいだった。


