「それに、圭くんって今、家出てるんでしょ?」
確か、ママが晩御飯の食卓でパパとそんなことを話してたのを覚えてる。
圭くんは大学に入ったのと同時に一人暮らしをし始めたって。
「あら? 茅乃ったら、よく圭くんのこと知ってるじゃない」
さっきまでの項垂れた雰囲気から一変、ママはキラキラとした目であたしのことを見てくる。
「知ってるも何も、ママたちがこの前話してたじゃない。だから、耳に入ってきただけ」
「もう! 照れちゃって!」
ママはうふっと気持ちの悪い笑みを浮かべてあたしのことをツンと突いた。
な、なに、この反応?
すっごく気持ちが悪いんだけど………。
自分の母親ながら、ママが普通の一般家庭の母親像からかなりかけ離れているのはあたしも自覚している。
だから、多少の妙な行動も免疫が付いているはず。
だけど、その免疫を持ってしても、今日のママの反応はおかしすぎた。
「マ、ママ…、なんかプレゼントがあるとか言ってなかった?」
妙なテンションのママとの話をさっさと切り上げて、部屋に入ろう。
妙なテンションの時は関わらないに限る。
そう思って、話を切り出すと、ママは「あ、そうそう…」と今思い出したように言い出した。
わ、忘れてたの?
あんなにうきうきしながら言っていたくせに。


