「どうしたんだよ。いきなり?」
急に立ち上がったあたしに声をかけてくる圭くん。
そんな圭くんにあたしは一言だけ返す。
「帰る」
「はぁ? どうやって?」
「どうやってでも、帰ってやるわよ!」
フンッと自分の鞄を持ち、玄関へと向かおうとしたあたし。
だけど―――…
「うわっ!」
いきなり後ろから強引に腕を捕まれたかと思うと、引き寄せられた。
「簡単に、黙って帰すと思ってんのかよ…」
耳元で囁かれる言葉に、悔しいけど、ゾクゾクとしてしまった。
「―――だって…」
何を言おうとしてたのかなんて、すっかり忘れてしまった。
だけど、なんとか反論をしなくちゃと思って口を開いた、その瞬間、首筋に微かな柔らかく温かい感触を受け、あたしの体はビクリと反応した。


