圭くんは自分も靴を脱ぎ、部屋に入りながら軽く手を振る。
その仕草が、なんだか馬鹿にされているような気がして腹が立つ。
確かに、意識はしてましたよ。
だけどね、大体、圭くんがあたしを家に送らずに、ここに連れてきたのが一番悪いんじゃない。
このまま、この家から帰ってやろうかと思うものの、大体の土地勘はわかるものの、歩いて自分の家まで帰るというのは無理で、この辺りの交通機関はよくわからない。
この辺りは電車は通ってないみたいだし―――…。
ハァ…と一つ溜息を吐いていると、部屋の中から「何やってんだよ。早く入って来いよ」と声がかかる。
もう、こうなりゃ腹をくくるしかない。
どんなお仕置きであろうとも受けてやろうじゃないか。
それが、どんなに罰ゲームほど酷いことであろうとも!
グッと拳に力を込めて、あたしは一歩を踏み出した。
「まあ、とりあえず座れよ」
「う、うん…」
促されるままに座ると、テーブルの上にはコーヒーがすぐに出てきた。
「ありがとう…」
お礼を言いながら、口をつける。
あれ?
なんか、くつろいじゃってるぞ?
そんなことを暢気に思っていると、圭くんが隣に座ってきた。
ドキッとする心臓。
落ち着いていたはずなのに、またも、騒ぎ出すあたしの心臓。
これが、意識してるってからかわれるきっかけなんじゃない。
ここは、何も気にしていないようなフリをしなくちゃ。
心を落ち着けて~…。
落ち着け~、落ち着け~…。
一応、目を閉じ、深呼吸なんてものをしてみる。


