*
―――家に送ってくれているはずだった。
なのに、目の前に見える景色にあたしは呆然と立ち尽くす。
「ほら、さっさと行くぞ」
先を歩いていこうとする圭くんに、ハッとしたあたしは慌てて呼び止める。
「ちょ、ちょっと、圭くん!
これは、一体どういうこと?
家に送ってくれるって―――…」
「家だろ?」
家だろって―――。
確かに、家には間違いない。
だけど、それは圭くんの一人暮らしをしているアパートであって、あたしの家ではない!
「あたしを家まで送り届けてくれるんじゃなかったの!?」
「ああ。
だから、送ってやってるだろ?」
だあっ!
そうじゃなくて!
「あたしは、自分の家にっ!」
「誰も、どこの家に送るとは言ってなかったと思うぜ?」
ニヤリと笑いながら言う圭くんの顔を見て、あたしは上手いこと騙されたのだと気づいた。
「ほら…」
呆然と立ち尽くすあたしの腕を引くと、圭くんは連れて行く。
もう、逃げることはできないとあたしは、諦めた。
ただ、『お仕置き』という言葉だけが、あたしの中に鮮明に残っていたけど。


