ボソッと呟いた圭くんの言葉。
あたしは、ピキッと音が鳴ったんじゃないかと自分でも思うほどに固まった。
幸いなのかどうかはわからないけど、圭くんはあたしの耳元で囁いた程度だったので、コウさんたちには聞こえてないみたいだけど―――…。
不思議そうな顔で、黙り込んだあたしを見てくるコウさんたちに、あたしは今すぐにでも「助けてください!」と叫びたかった。
だけど、叫んだ後に、とてつもなく怖い思いをすることは確実なので、口に出しては言えなかった。
「お熱いことで~。
じゃあ、俺たちは飲みに行くな」
「ああ」
軽く返事をした圭くん。
その圭くんを見て、先に出て行こうとしていた誠さんは、「あ…」とピタリと足を止めた。
「そうだった。
俺、ここの鍵、マスターに返さなくちゃいけなかったんだ」
誠さんは、そう言うと、カウンターに置かれている鍵を手にした。
そういうわけで、あたしたちもこの店から出なくてはいけなくなったわけなんだけど―――…


