突然のことに、あたし、圭くん、雅紀さんの三人は驚く。
そんなに親しくはないけど、あたしの中でのコウさんのイメージはいつも、物静かで柔らかなイメージのある人。
だから、そんなコウさんが、こんな風に誰かを殴るなんてこと、想像すらできない。
それなのに―――…
びっくりしすぎて、呆気に取られていると殴られた誠さんは口の端を切ったのか、口の端から血が流れていた。
「いってぇ~…」
唇の端の血を拭いながら、起き上がる誠さん。
「だ、大丈夫か?」
雅紀さんが心配して誠さんに駆け寄る。
そして圭くんは、殴ったコウさんへと駆け寄った。
この状況について行けないあたしだけが、その場に立ち尽くすしかなかった。
「おい、コウ。
いきなりどうしたんだよ」
「圭史は腹が立たないの?」
「―――俺?」
怪訝な表情で自分のことを指差す圭くん。
そんな圭くんに、コウさんは深く頷いた。


