「あのさ~…。
俺の存在忘れてない?」
そんな声がすぐ傍で聞こえてきて、あたしはハッと思い出す。
それと同時に、あたしは圭くんの胸をドンッと勢いよく押した。
見ると、ニヤニヤと笑いながら見てくる誠さん。
すっかり、誠さんの存在を忘れていたあたし。
忘れて、圭くんに抱きついていたなんて!
恥ずかしすぎて、誠さんと目を合わせられないあたしは、少しでもこの赤くなってしまった顔を見られないように、俯いた。
「なんだよ。
そこはさ、気を使って、この場からそっと去るのが普通だろ?」
あたしは、恥ずかしすぎて顔から火を噴きそうだってのに、圭くんは、そんなことを誠さんに言う。
もちろん、そんなことを言われた誠さんは反論。
「ひっでぇ。
誰のおかげで、茅乃ちゃんが助かったと思ってんだよ」
「あのな。
それなら、こういう作戦に乗る前に、俺に教えてくれたらよかっただろ?
そしたら」
「そしたら、こんなことにならないように気をつけたのにってか?」
「あ、ああ…」
誠さんは、わざとらしく、指を一本立てると、「ちっちっち」と圭くんの前で動かす。


