「フッ…」
あたしの叫び声が店の中に木霊したのと同時に、圭くんが静香さんに不適に笑った。
「もう、茅乃ちゃん。緊迫感ありすぎ」
誠さんはそう囁くと、あたしの手が固定されていたストールを解いてくれた。
「ま、誠さん…」
ニッと笑うと、誠さんは立ち上がり、あたしの腕を引き寄せて立ち上がらせてくれた。
「誠くん!?
ちょっと、どういうことよ!?」
仲間だと思っていたはずの誠さんの行動に、静香さんは焦りだす。
さっきまでの優位な立場から逆転した感じ。
動揺している静香さんに、圭くんが状況を説明し始めた。
「どうもこうも、誠は初めからお前の味方じゃなかったってことだ」
「・・・・・え?」
そう言われたところで納得ができないのか、放心状態でありながらも、誠さんと圭くんのことを見る静香さん。
そうなんだ。
あたしも、この店に来るまでは、誠さんは静香さんと手を組んでいると思っていた。
だけど、この店に入る時に、耳元でこっそりと教えられたの。
『大丈夫だから、安心して。俺は、茅乃ちゃんと圭史の味方だから』って。
そして、自分に合わせるようにって言われたんだけど、実はそう言われても半信半疑だったというのが正直なところ。
だって、この状況で、絶対に信じろって言われても信じきれないよ。
おまけに、そりゃ会ったことはあっても、そんなの一回だけだし―――…。
それで、信じなさいと言われるほうが無理だから。


