「そうだな。
俺だけじゃなく、雅紀もピンときてたぜ」
「そっか…」
誠さんが頷いているのを後ろから見ていると、なんとなく歯痒くなってきて、あたしはついに立ち上がる。
「ちょっと!
今、そこで暢気にそんなこと話してる場合?」
未だに静香さんは圭くんに抱きついたままだし、一体、なんなのよ。この状況は!?
「あれ? 茅乃。お前、動けるのか?」
って!
今ごろ、何を言い出してるんだ?
緊張感なさすぎ。
思わず、ずっこけそうになっちゃったじゃない。
「動けます!
って、今はそんなことを話している場合じゃなくて!」
「そうだな…」
ぎゃあぎゃあ言っていると、途端に冷静な圭くんの声。
あたしは、急に真剣な顔になった圭くんを見て、ピタリと口を閉じた。
圭くんは、チラリと後ろを振り返り、静香さんのことを見る。
それから、ハァと溜息を吐いた。


