「ねぇ…。
あなたの携帯であたしが圭史に電話をしたら、圭史、どう思うかしらね?」
何がおかしいのか、静香さんはクスクスと笑う。
だけど、そんなの言われなくても簡単に想像できる。
きっと、圭くんは瞬時にあたしが静香さんと一緒に居ると思う。
それは、すぐに拉致されたと想像できてしまうと思う。
普通なら。
普通ならだよ。
そんな考えになんて至らないはず。
だけど、圭くんは警戒していたもの。
静香さんのことを。
きっと、こうなることが予想できていたからだ。
だから、圭くんは拓斗にあたしを送るように頼んだんだ。
それなのに―――…
「あたしって、馬鹿だぁ………」
もう、大丈夫だろうって、何の根拠も無いのに、勝手に楽観視しちゃってさ。
それで、このザマ。
圭くんに思いっきり罵られても、文句なんて言えないよ。
絶対に、説教されるに違いない。
だけど、それも仕方ないよね………。
とほほ………。
そんな風に落ち込んでいる間にも、静香さんはあたしの携帯で圭くんに電話をしてしまっていた。
圭くんが何を言っているのかは全然聞こえないけど、静香さんの言葉の端々から、やはり、圭くんは拓斗から連絡を受けて、知っていたみたい。
やっぱり、あの時誠さんが言っていた男って拓斗のことだったのか―――…。


