校門前で声をかけられ、車に乗るように言われた。


 そのまま、ダッシュして逃げようかとも思ったけど、車の運転席に座っている人物に見覚えがあったあたしは、素直にそれに従った。





 車に乗り込み、動き始めたところで、誰かに名前を呼ばれたような気がしたけど、あたしは気のせいだと思うことにした。


「どうして、あなたがここに居るんですか?」





 あたしは運転席に座っている彼に声をかける。


「確か――、あなた圭くんのお友達に人ですよね?」





 そんなあたしの問いに、彼はクスッと笑う。


「そういえば、誠くんとは会ってたわね」





 名前なんて全然覚えてなかったけど、静香さんの言葉にこの人の名前が誠だったと思い出した。


 彼は、あの圭くんに強引に連れて行かれたテーマパークで出会った人。


 あの時、あたしは圭くんの友達として紹介された。


 圭くんは、うざったそうな顔をしていたけど、別にそれも本当に嫌っているんじゃなくて、仲がいいからこその表情って感じだった。


 だから、友達なんだとあたしは思ってたんだけど―――…。


 ここに居るってことは、違うの?


 それとも、複雑な関係?