「な、なんだよ。

何もそんな目で見てこなくても………」


「今の言葉。冗談で受け取れないから」


「はあ?」





 意味がわからないといった感じの拓斗。


 だけど、たとえ意味がわからずとも、今のあたしにその一言は禁句だから。


「おっはよ~ん、茅乃! 

それに、拓斗くんも」





 いきなり元気よく現れたのは、あたしの親友の真澄(ますみ)。


 真澄は突然現れたこともあって、あたしと拓斗の異様な雰囲気に不思議そうな顔を向けてくる。


「なになに? 

もしかして、修羅場~?」





『修羅場』という言葉を出してきながらも、真澄の目はキラキラ輝いていた。


 このもめているのを見るのが大好き女め!


 真澄は言ってみれば、なんにでも興味を示すお祭り少女。


 喧嘩を見ても、止めるではなく逆に「やれやれ」と乗せるタイプ。


 そんな真澄はあたしのことを見てきたかと思うと、目をキラキラさせてくる。


 それは、今のこの状況を説明しろということか?