「な、なんだよ。

気持ちわりぃな。

いつもなら言い返してくるだろうが」


「言い返す元気さえもないの」


「はあ!? 

さては、昨日、圭史にこっぴどく絞られたんだな」





 人の気も知らないで、うれしそうに言う拓斗をあたしは思いっきり睨みつけた。


「ええ、ええ、絞られましたよ。思いっきり! 

あんの野郎! 

子供の頃と全く変わってない!」





 昨日のことを思い出しただけでも腹が立つ。


「そんなに圭史の家庭教師ってハードなのか?」


「ハードもハード! 

初日のくせに思いっきり宿題なんて出してきたのよ、あいつ! 

初日なんて、どれほどのもんか普通なら小手調べ程度のものでしょ? 

それなのに~!」


「すっげぇな。

圭史の奴、やる気満々じゃん。

お前、元々成績いいからもしかしたら、トップも取れたりするんじゃねぇ?」





 他人事のように言った拓斗のその言葉に、あたしは目をくわっと見開いた。