「とにかくっ!
帰る時に、ママが婚姻届を出してきても、受け取らないでよ!
受け取ったら最後なんだからね!
絶対に突っぱねて」
「―――お、おぉ。
だけど、いくらなんでも冗談なんじゃねぇの?」
「冗談じゃないから、こんなに必死なんじゃない。
冗談だと思って、安請け合いなんてしたら、最後なんだらね!」
圭くんはママのことを甘く見すぎてる。
ママには一般常識は通用しないんだから!
とにかく、圭くんに一応釘を刺したところで、あたしたちは勉強を始めた。
勉強をし始めて三十分というところで、あたしはふと思い出した。
「あ、そうだ、圭くん」
「んあ? なんだ?」
「ちょっと聞きたいんだけど、どうしていきなり拓斗にあたしを送るように頼んだの?
やっぱりそれって、静香さんのことがあったから?」
ジ~ッと見ていると、圭くんは「あ~…」と言いながらも気まずそうに目を逸らす。
そういう態度が、「そうだ」と言っているようなもの。
「やっぱりね…」
「おいっ!
俺はまだ何も言ってないぞ」
「言わなくてもわかる。
顔に出てるから。
それに、なんとなく圭くんがそんなことを拓斗に頼むのは静香さんのことしか考えられなかったし―――…」
「―――と言う事は、お前、やっぱり静香に何かを言われてたのか?」


