あたしは慌ててママから受け取った紙を広げる。
すると、そこには確かに婚姻届の文字。
おまけにところどころに添えられている文字に、まさしくドラマとかで見たことのある紙だと気づく。
「ちょうど今日、家庭教師の日でしょ?
だから、圭くんにも書いてもらえると思って。
ほら、茅乃。
これは実印ね」
いつもはのほほ~んとしているママにあるまじき早業。
いつの間にやらあたしの目の前にはペンに実印が置かれていた。
「他にもいろいろと戸籍謄本とかいろいろといるのだけど、それは、また今度ママが市役所で取ってきてあげるわね」
「ちょ、ちょっと待ってよ!
勝手に話を進めないでくれる!?
あたし、一言もまだ承諾してないから!
結婚なんて!」
興奮気味に叫んだせいで、少し酸欠気味だけど、そんなこと構ってられない。
ここで、流してたら絶対に結婚させられる!
圭くんとくっつけよう作戦をもくろんでいたということを知ったあの時も、そんな風に思ってたけど、あれは、そう思いながらも冗談半分ってとこもあった。
だけど、こんな風に目の前に婚姻届まで突きつけられると、もう冗談じゃ済まない!
そりゃ、圭くんのことは好きだよ。
だからこそ、あたしは付き合おうと思った。
だけど、所謂結婚て恋愛の中ではかなりの段階が進んでから出る話でしょ?
あたしと圭くんが付き合いだしたのなんて、たかだかここ一週間ぐらいの話だよ?
それが、いきなりぶっ飛んで結婚!?有り得ない、絶対に有り得ない!


