あたし、何かママが怒るようなことした?
それも、さっきって言ってたけど―――…。
帰ってきたばかりで何かをしでかすなんてことはしてないと思うんだけどな~…。
考えるも、全く思い当たらない。
そんなあたしを見て、ママはついに地団太を踏み出した。
「さっき、一緒に帰ってきてた男の子は!?」
なぜか、勢いよく聞いてくるママ。
なんで、そこで一緒に帰ってきた拓斗のことを聞くわけ?
ますます意味がわからないんだけど―――…
「拓斗だけど?」
「そう!
拓斗くん。その子とは一体―――…え?
拓斗くん?」
「そうだよ。拓斗だけど?
なんか、圭くんに頼まれてるんだって~。
これから当分は帰りは一緒に帰ることになると思う」
なんかよくわからないけど、ママの怒りは収まったみたい。
あたしはそれを見計らうと、茶うけから、さっき取りそこなったフィナンシェの包みを取った。
袋を開け、一口頬張ると、ほんのりとしたお酒の香りと味がして、大好きな甘いフィナンシェにあたしは頬をほころばせた。
バームクーヘンもパウンドケーキも大好きだけど、やっぱり一番はフィナンシェだよね~…。
フィナンシェを半分ぐらいまで食したところで、「な~んだ」とママのホッとした声が聞こえてきた。


