いい作戦だと思っていたものを軽く覆されちゃって、あたしは何を言おうかと戸惑う。


 どうしたら、圭くんに家庭教師を断ってもらうように持っていける?


 うわ~ん。


 全然、いい案が思いつかない~!


「もう、諦めたら?」





 頭をフル回転していると、目の前から圭くんの最後通告が告げられる。


 キッと圭くんを見ると、圭くんはテーブルに頬杖をつき、ニヤリと笑いながらこっちを見ている。





 キ~~~!!


 この勝ち誇ったような顔がムカつく~!!!


「俺はこの話を断る気はない。

お前も成り行きとはいえ、一度は受けたことなら今更下手な足掻きをせずに、諦めたら?

 まあ、そういうところはガキだから仕方ないか」





 んなっ!


 ガキ?


 今、この人、あたしのことガキだって言わなかった?


「ガキって、あたしはもう高校生だもん! 

誕生日が来たら、十六になるんだもん!」


「そうやって、すぐにムキになるところがガキだって言ってんの」


「うっ………。

で、でも、圭くんだって、まだ二十歳ではないでしょ? 

それじゃ、まだ法律上は成人してないじゃない!」





 ふんっ!


 言ってやった!


 言ってやったぞ。


 季節はまだ七月上旬。


 圭くんも、まだ誕生日は来てないでしょ。


 相対的の確率でそう決めてしまったあたし。


 だけど、圭くんは―――