「―――それで?
話があるなら、さっさと言えよ。
俺も、お前に話しておきたいことがあるし―…」
「は、話って―――?」
なぜか、今にも泣きそうな顔で聞いてくる静香。
まずは、静香の話を聞いてからと思ったのだが―――…。
話はなさそうだし、俺のほうから先に話すか―――…
「俺――、茅乃と付き合うことになった」
静香が息を呑むのがわかった。
何も言わない静香に、俺は言葉を続ける。
言わなくてはいけないことは、きちんと言っておくべきだ。
何も言わないで、宙ぶらりんなままでいるよりも、そのほうがいい。
それに、未だに俺に執着を持っている静香には余計にきちんとはっきり言っておくべきだと思った。
「お前には、きちんと話しておくべきだと思って―――…」
「ど、どうして?
茅乃ちゃんの、どこがそんなにいいの?」
「どこがって―――…」
ほとんど放心状態に近かった静香。
なのに、瞳に力がこもったかと思うと、すごい勢いで俺の元へとやってきたかと思うと、そんなことを聞いてきた。
だけど、答えには困る。
コウにも話したけど、俺は茅乃だから好きなんだ。
どこがとか、そんな一つ、どこかと言えるようなものなんてない。
「それは―――…」


