「理屈じゃないよ。
茅乃ちゃんと出会って、話して、茅乃ちゃんの作る雰囲気が居心地がよくて、僕は茅乃ちゃんを好きだと思った。
好きだなって思う気持ちって、そういうもんじゃない？」
そうだな――…。
俺だって、茅乃のどこを好きになったのかと言われれば困る。
どこかなんてわからない。
ただ、一つ言えることがある。
それは、俺は茅乃という人間が好きなのだということ。
どこがなんて言えない。
だけど、茅乃が好きだということはわかる。
「そうだな」
ニッと笑うと、コウも笑い返す。
「だけど、僕、こんな風に一人の女性を好きだと思ったのは初めてだから、すぐに茅乃ちゃんのことを忘れるなんてできないと思うんだよね」
こいつ、何をそんな笑顔で言い出すんだ？
さっきまでの話だと、納得してくれている感じだったのに―――…。
自由人、コウ。
俺はコウが何を言い出すのかさっぱりと読めなかった。
「お前、何が言いたいわけ？」
「つまり―――…」
コウは笑みを浮かべたままで、いたずらをするような無邪気な顔で俺のこと見てくる。
そして―――…
