すると、いきなりコウは笑い始めた。


 なんだ?


 もしかして、頭おかしくなったのか?


「はいはいはいはい。

一応、圭史のこともからかうことができたし、少しすっきりした」





 俺のこと、からかってたのかよ!


 にっこりと笑う、コウ。


 こいつは―――…。


 そうだった。


 こいつは、虫も殺さないような顔をしておきながら、すごく頭が切れるのだった。


「まあまあ、そんなに怒んないでよ」


「お前が、怒らすようなこと言ってんだろうが!」


「もう~。

相変わらず、圭史は短気なんだから。

これじゃ、この先付き合うことになる茅乃ちゃんが可哀想だよ」





 お前にだけは言われたかねぇよ!


「話す気がないなら、もういい。

俺も話すことは話したから」





 さっさとこの場を後にしようとしたところで、「わぁ、待って待って」と急にコウは慌てだす。


「圭史の話は済んでも、僕にはまだ話があるんだから!」





 ん?

 コウが、俺に?


 俺から茅乃とのことで呼び出したのに、コウも俺に話すことがあったのか?


「なんだ? 話って」


「元倉さんのことだよ」


「静香?」