「この前から言おうとは思ってたんだけど――。

お前、静香にちょっと遠慮しすぎ」


「―――え?」


「いくら、静香に俺のことなんとも思ってないって言ったからって、それに遠慮するのって違うと思う。

第一、そんなことで遠慮されてたら、俺の気持ちはどうなるんだよ」


「そ、それは―――…」


「別にさ、先に自分の気持ちを言ったもん勝ちってわけじゃないだろ? 

恋愛関係は」


「う、うん…」





 それはそうだけどさ。


「だから、お前は気にしなくていいんだよ。

あと、静香のことも気にするな。

俺がなんとかするから。

もし、何かあればすぐに俺に連絡しろ。

いいな?」





 な、なんか、圭くんがすごくたくましい―――…


「なんだよ、その目は。

返事は? 

わかってるなら返事しろ」


「う、うん。わかった―――…」


「よしっ! 

それじゃ勉強始めるぞ。

まずは、この返ってきたテストの間違っているところからだな」





 そう言うと、圭くんは家庭教師モードに突入した。





 なんとなくだけど、お互いの気持ちも確認しあえたあたしたち。


 だけど、あたしたちに甘い雰囲気など全くなく、結局、気持ちは確認したけど、あたしたちって付き合うことになるのだろうか?


 そんなことさえも曖昧なままだった。