「だ、大丈夫!」





 ここまで疑われてるんだもん。


 下手に「なんでもなかった」なんて今更言えない。


 自分でも自覚できるほど、確かにあの時のあたしはおかしかったもん。


 圭くんが気づくのも無理はない。


 だから、こんな風に答えるのがあたしにとっては、精一杯。


「何が大丈夫なんだ?」





 案の定、帰ってくる言葉。


 うぅ…。


 そこは上手く受け流してくれないかな?


 そこは引っかかって欲しくはなかった。


 だって、大丈夫なわけなんてないんだもん。





 何も答えられないあたしは、とりあえず、目を逸らした。





 ジ~ッと見てくる圭くんの視線が痛い―――…。


 まるで、『吐け、吐くんだ!』と圧力をかけれているようで。





 少しの間の沈黙の末、圭くんはハァと溜息を吐いてから、「まあ、いい」と一言吐き捨てた。





 いいってことは、これで圭くんからの追求はなくなるってことだよね?


 ホッとしたのと同時に肩の力が抜けた。