「あの~…、
教科書って見せてもらっていいかな?」
「………へ? あ、はい…」
言われて、あたしは慌てて本棚から教科書を取り出す。
後、今日学校で使った分の教科書。
全てを何も考えずに差し出した。
「……クッ…」
ん?
なんか笑われた?
普通に言われたとおりに教科書を取り出しただけなんだけど………。
「芸術系はいいよ。
一応、俺が頼まれているのは理数系と英語なんだけど………」
「へ?」
あたしは自分が差し出した教科書を見る。
そこには芸術系から全ての教科書が出されていた。
もちろん、その分厚さはハンパなくて………。
「す、すみません!」
ああ~…、
あたしったら、何をやってるんだろう。
こんな状態で、家庭教師を辞めてもらうための話なんてできる?
だけど、教科書を見せてくれということは圭くんはあたしに勉強を教える気満々であるのは確か。
辞めてもらう話をするなら今。
確かシュミレーションではそれまでに圭くんと他愛のない話をすることになってたけど、そんなこと言ってられない!


