どれぐらい走っていたのだろう―――…
気づいた時には、あたしは自分の家の最寄り駅に着いていた。
見慣れた景色に、少しだけホッとする。
だけど、なんとなく自分が誰かの視線を受けているように思えて、あたしは後ろを見た。
だけど、自分のことをジッと見ている人なんて誰もいなくて、ただの気のせいだったのだと気づく。
あたし、何をこんなに怖がってるんだろう―――…。
自分じゃ、それなりに気は強いほうだと思う。
学校では別にいじめられることはなかったけど、いやみを言われたことぐらいはある。
中学の時はなぜか不良で有名な怖い先輩に「いい気になるな」って釘を刺されたことだってある。
別に今までに、怖い経験を一度もしたことがないというわけではない。
それなりに、経験はある。今日のことと、中学の時の不良の怖い先輩の時のこととを比べると、不良の怖い先輩に呼び出された時のほうが誰が聞いても怖いと思うはず。
だけど、それよりも、あたしは静香さんのほうが怖かった。
あの表情―――… あの目―――… 何も映していないような、あたしのことを見ていながら、どこを見ているのかわからないようなあの目が怖かった。
あたしという人間が人間として見えてないように思えて―――…


