もう、二度と会うこともない―――…
そう思い、前を歩いていると、後ろから「あっ!」と思い出したように声をあげた静香さんの声が聞こえた。
そのまま、止まらずに気づかないふりをして歩いていけばよかった。
だけど、条件反射でついあたしは立ち止まり、振り返ってしまった。
そこには、先ほどまでのにっこりとした笑みを浮かべた静香さんではなく、あたしのことを冷たい目で見ている静香さんが居た。
「そうだ、茅乃ちゃん。
圭史って、すごくもてるの。
だから、あたしだけじゃなく、他の子たちのこともいろいろとあると思うわ。
くれぐれも気をつけてね」
『気をつけてね』忠告のはずのその言葉。
だけど、あたしにはどうしてもそのようには聞こえなかった。
だって、他の誰かじゃなく、それは、自分が何をするかわからないからと言っているようにあたしには聞こえた。
言っていることは違う。
だけど、静香さんの表情がそう語っていた。
あたしは背筋がゾクリとし、慌てて逃げるようにその場から立ち去った。
怖い―――…。
怖い、怖い、怖い!
人をこんな風に怖く感じたことなんてなかった。
なんだろう。
何かをされたわけじゃない。
だけど、得体の知れない恐怖を感じた。


