すごく、今すぐにでもこの場から逃げ出したい気分。
別に静香さんは責めているわけではない。
だけど、責められている気分になるのは、やっぱりあたしに罪悪感があるからだろうか?
あの時、はっきりと言い切ったあれが今のあたしの首を絞めてるのかな?
あの時、貴店を働かせて、後のことを考えて「先のことはわかりません」とでも、言葉を濁しておけば、こんな風に罪悪感を抱くことなんてなかったのかな?
―――ううん。
きっと、言葉を濁してても、同じだったんだ。
だって、目の前で傷ついている人を見ると、誰だって罪悪感を抱くのだから。
そして、それが自分のせいだとすれば、尚更。
「ごめんね、茅乃ちゃん。
今日だってこんな風に―――…」
「いえ――…」
「それじゃ、家庭教師もあるんだし、そろそろ出ようか」
「はい」
この前と同じように、静香さんが支払おうと伝票を持っていたので、あたしは「待ってください」と静香さんの手を掴んだ。


