いや。
それは、無理でしょう。
静香さんが言ったことを聞いてくれなかったからって、あたしが言って、それを「うん、わかった」と聞いてくれるとしたら、とんだ大ばか者だよ。
恐らく、取り持ってということは、静香さんが圭くんに言ったことは、「付き合って」ってことだと思うし―――…
ここは、やっぱりはっきりと断らなくちゃ!
「あの!」
「お待たせしました~…」
決心をして、断ろうとしたのに、タイミングがいいのか悪いのか、ちょうどウエイトレスさんが頼んでいた品を持ってきた。
優雅とは言いがたい置き方で、コーヒーをあたしと静香さんの前に置くと、「ごゆっくり」とお決まりの言葉を言うと、去っていく。
もうっ!
なんで、邪魔をしてくれるのよ!
ああいうのは、勢いが必要なのに―――…
なんか、出鼻を挫かれてしまったあたしは、仕方なく、運ばれてきたコーヒーに砂糖とミルクを入れた。
静香さんはやっぱり、この前と同じでブラックでコーヒーを飲んでいた。
口をつけていたカップを置き、あたしのことを見てくると、静香さんはにっこりと微笑む。
「それで、お願いできるかな?」


