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部屋の中央にあるテーブルの前に座り、あたしは頭の中でシュミレーションを繰り返す。
え~っと…、とりあえず自己紹介。
それから、たわいのない話をして、その後にきっと勉強に入ろうと圭くんはすると思うから、そうなった時に本題を話す。
話の切り出し方はどうすればいいかな?
やっぱり、突然家庭教師を辞めてくださいなんてことは言えないから、こうなった経緯を話すしかない。
身内の恥をばらすみたいで嫌な気がするけど、仕方ない。
それに、圭くんのママとウチのママは仲がいいし、圭くんもママが少し変わっているということを知っているかもしれない。
そうなると、話は早いんだけどな~…。
でも、そういえば拓斗が圭くんは女性に冷たいと言っていた。
そうなると、話を聞いてもらうまではかなりのハードルの高さだったりするのかな?
う~ん…。
考え出すとキリがなくなってくるな~…。
ベッドに背中からダイブした時―――。
ちょうど、家のチャイムが鳴った。
あたしは体を起こすと本棚の一角に置いてある置時計を見る。
――17:55
五分前行動ってか?
18時からだから、時間的にはちょうど圭くんが来る時間だけど………。
別の人かもしれないと思っていたその時。
下から
「茅乃~! 圭くんが見えたわよ~!」
そう言って、あたしのことを呼ぶママの声が聞こえた。
やれやれ。
完璧にはどう話すか纏まっていないけど、なんとかするしかあるまい。
あたしは「は~い!」と聞こえのいい返事を返してから、一つ溜息を吐いた。


