階段を下りてから、あたしはリビングに顔を出した。
「ママ。
あたし、今から出かけてくるから」
「え? どこに行くの?」
「圭くんが、なんかよくわかんないけど、勉強教えてくれるんだって」
「え? 圭くんが?」
ママは今更ながらはまっている韓国ドラマから目を離し、きらきらとした目でこっちを見てくる。
「あの、ママ。
ママが思っているような甘いことはないからね。
ただ、勉強を教えてもらうだけだから」
ママが妙な勘違いをする前に釘を刺しておく。
「な~んだ、そうなの~?
つまんない~」
つまんないって………。
もうすぐ四十っていう年の人間がそんな言い方しないでよ。
「とにかく、出かけてくるから」
「はいはい。ごゆっくり~」
すでに興味は失せたのか、ママは韓国ドラマへと視線を戻した。


