「なんでって―…。

そりゃ、どうして圭くんがあたしのことを好きなのか…とか?」


「そこ、どうして疑問なんだ?」


「だって、自分でもわからないんだもん。

あたし、圭くんに嫌われると思うことはあっても好かれてるだなんて思えない。

子供の頃だけじゃなく、今も圭くんはあたしのこと苛めてばっかだし…」


「そうだな~…。

俺も、知らなかった」


「はい?」





 きょとんとする茅乃の鼻を俺はちょいと摘む。


「嫌いの裏返しは好きだってこと―――」





 目を見開く茅乃に顔を近づけると、俺は赤く染まる頬にチュッと口付ける。


 目を丸くして俺のことをじっと見つめる茅乃。


「俺、容赦しないからな」


「へ?」





 きょとんとする茅乃を見ながらも、俺の茅乃へのアプローチはこの日を境に始まった。